以前の投稿では、ドル建て金相場は、65ヶ月移動平均線と月足の雲の下限ライン(先行上限)が同水準で重なりながら覆い被さっているために上値を抑えられ易いとのコメントを致しました。
【Spot Gold 月足】 65ヶ月移動平均線と雲の下限線

もう一つ気になるのが、NY史上におけるファンド勢の買越し残が1000トンに迫る史上最高水準(2016年9月6日発表の数字で954トン)において、依然高止まりしたままであることです。
これはNY先物市場における買玉数から売玉数を引いた数字のことで、買玉の数は(当然ですが)売って閉じることによって減少します。
つまりNY金市場において買越し残高が多いということは、それだけの売り浴びせ予備玉が存在しているということであり、遅かれ早かれどこかである程度の下げは見ないといけないでしょう。
ただ、それが大急落的な下げになるかどうかはまた別な話です。
買玉が少しだけ減り、すぐさま再び上げ直すパターンだってあります。
相場が天井圏に来たことを示唆する買越し残の数字は年々大きくなっていくものです。
それが300トンだった時代もあり、400トンから500トン、800トンへと変化してきたものですので、1000トン水準になったからという理由だけで、今ここで大急落のポイントを迎えたと言い切れるものではありません。
ただ、現在はこれまで到達したことのなかった新たな高水準ですので、警戒すべきところに来ていることは間違いなく、ある程度の買玉の掃き出しはこの先どこかであるでしょう。
これを一旦リリースしないことには、その後の上昇にも勢いがつかないのではないかと思う程の高水準なのです。
【Spot Gold 日足】 5月に231トンだけ買越し残が減った後、7/6まで再び高値更新

ご覧になってお分かりの通り、今年は5月に入っていきなり急落に見舞われました。
この時、急落前の5/3には842トンあった買越し残は、下落が止まった5/31の時点では611トンと231トン減らしており、これでも結構な高水準でした。
しかし、ここから金相場は猛反発して7/6まで高値を更新し、この時点での買越し残は979トンまで更に増えています。
問題はこの時以降、相場が上げ悩んでいること。
しかも買越し残数が"減少"と呼べる程に減少しておらず、9/6時点においてまだ954トンです。
上記した上値抵抗線の存在とも辻褄が合うこともあり、やはりどう見てもどこかで急落の警戒をしておくに越したことはないと思います。