遂にFRBは利上げに踏み切りました。
今後も段階的に少しずつ利上げを重ねていくものと推察しますが、米国はこれまでも金融緩和(利下げ) と金融引き締め(利上げ)を繰り返してきました。
因みに前回の引き締め開始は2004年6月(1% ➡ 1.25%)でしたが、これが2006年6月(5% ➡ 5.25%)まで続きました。
そこで一旦打ち止めになった後、翌2007年夏には後のリーマンショックの引き金にもなったサブプライムローン破綻という悲劇が起こったことはまだ読者諸氏の記憶の中に留まっていることと思います。
この時、金価格はこれを材料に急騰を開始しました(以下チャート参照)。
<Spot Gold 日足 2007年秋相場> 利上げ後のサブプライムローン破綻は金価格を押し上げた

巷では、「今回の利上げで金の上値を抑えていたが材料出尽くし、2016年以降の金は立ち直る。」などという意見も聞かれますが、私の見方は2017年第一四半期頃までは引き続き弱気です。
その理由は、現在が第二8.33年サイクルの底打ち時期としてまだ時期が早過ぎることであり、詳細は最近の投稿記事「弱い金相場と時代の潮流」で述べた通りです。
ファンダメンタル的にも最近の金相場が急騰として反応するのは、ほぼ大きな金融有事勃発時だけです。
以前から「いずれFRBは確実に利上げする。問題はタイミングだけだ。」などと予告していた内容が実現したことで、投資家が待望していた結果を簡単に見せてくれるほど、今の金市場はシンプルではありません。
最近のギリシャ危機についても同じように事前の状況解説が多過ぎ、全くサプライズ性がなかった点が
金相場にとって追い風にならなかったのです。
ただ、毎回米国の利上げ以降で興味深い事実は、何度か小刻みに利上げを重ねた後、不思議に大きな金融有事が起きていることです。
例えば、1994年2月からの金融引き締め以降も何度かに亘る利上げ後、1997年にはアジア通貨危機が起こっています。
ただ、アジア通貨材料はドル建て金相場が動意づく内容でもなく、この時の金価格は上向きませんでした。
もう一つ、サイクル論の視点からでは、旧25年サイクルが底値模索時間帯(1999年8月に底打ち)に入っていたために下向きの動きを止められないことでした。
では、今回の利上げ以降、この先はどうでしょう?
現在は第二8.33年サイクルの底値模索時間帯に入っていますが、まだもう一つの後半17ヶ月サイクルが始まってもいない段階です。
つまり、第二8.33年サイクルが底打ちするであろう2017年初頭まで、今回を皮切りに利上げを重ねていく時間がたっぷり残っているということです。
実際に2017年までに利上げが進み、その後同サイクルの底打ちに合わせるように金融有事が起こると、
金価格は急騰する可能性があると思います。
<Spot Gold 月足> 第二8.33年サイクルの底打ちは2017年第一四半期頃か?

1997年、2007年、そして次は2017年???
FF金利が上がった"7" の年には金融有事が起こるのでしょうか???