筆者個人的には予想通りであり、何の意外感も無いことでしたが、先日パリで起こった同時多発テロに金相場はほぼ無反応でした。
有事に対する金相場の鈍い反応は、実は今に始まったことではありません。
2001年9月11日の米国で起こった同時多発テロの日でも、当日の金価格は僅かに13ドル上がっただけでした。
リーマンショック以前、金相場が反応した材料は、日本国内発のペイオフ解禁、金鉱山会社の売りヘッジ外し、商品銘柄全面高によるインフレ懸念(CRB指数高騰)に、これを後押しするように2005年8月末に発生したハリケーンカトリーナの大暴れなど、気象現象までが金価格を高騰させる材料になっていました。
【Spot Gold 月足】 一旦上げ出すと美味しいところどりの金相場

金は有事に強いようなイメージがありますが、事実はそれ自体には金は殆ど無反応に近いことが多く、有事は有事でも金融的有事に金は敏感であるとは言えそうです。
ただ、テロなどの有事材料自体に対して金は反応が鈍かった反面、9.11以降の金相場は何らかの材料が出る度に上伸していくトレンド形成の切掛けにはなりました。
筆者の個人的な雑感ですが、2015年11月は2001年9.11前後の様子にどこかよく似ている気がします。
9.11以前の金相場はとてもまだ弱気を脱していたような気がしない時期ではありましたが、しかしそれでいながら長期的なW底(1999年9月と2001年2月)は既に打っていたのでした。
今回も1073~4ドル水準はW底となるでしょうか?
目先はこの点が最大の関心を持って金相場を観る部分です。