2011年9月高値だった1920ドル以来、金市場が再び強気を取り戻すきっかけは、やはり米国事情が暗転する以外に道は無いのではないのか??? そんな風に思えてくるほど不自然かつ異様に長く続いている金市場の弱気モードです。
そんな環境の中、FRBのデータでは、最近起こった上海株の急落で出た損失補填のために、中国が保有している米国債の一部を売却した可能性が映し出されていると言われます。
ちょうど上海株の急落に時期が合うように立った米国債券市場チャート上の大きな陰線に、その憶測が事実である可能性が見える気がします。
【CBOT T-Bond 日足】 時期が合い過ぎる
もし今回の上海株急落がトリガーになり、この先更なる深みに中国が嵌っていくことになると、同国は米国債の更なる売却の機会を模索する可能性もあるはずです。
米国にとってそれが怖いのは、中国が日本と並んで世界最上位の米国債保有国であることです。
<参考:米国債保有高ランキング>
2015年2月現在 (単位、10億ドル)
1.日本(Japan) 1224.4
2.中国(China, Mainland) 1223.7
3.カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs) 350.6
4.ベルギー(Belgium) 345.3
5.石油輸出国(Oil Exporters) 296.8
6.ブラジル(Brazil) 259.9
7.スイス(Switzerland) 201.7
8.英国(United Kingdom) 192.3
9.ルクセンブルグ(Luxembourg) 179.2
10.香港(Hong Kong) 175.4
米国債は、日本にとっては一度買ったら売却して元金回収することが出来ないと言われ、事実上は米国への国家運用資金プレゼントルートになっている市場ですが、中国にとってはそのような束縛は全くなく、彼らは何時でも売りたい時に売ることが出来ます。
日本が売れなくとも、中国が保有している米国債が全部売却されてしまえば、米国経済はとても二本の足で立ってはいられなくなるでしょう。
世界的な大混乱を招く恐れがあると思います。
長く続いてきたドル高も最近は停滞気味であり、ドル円相場から見るドルの天井感(=円安の極み)も前回投稿記事で述べた通り、5.5年サイクルの天井をつけた可能性が見えます。
前回投稿記事で見たドルがこの先下り坂を辿りそうに見える今の眺めと、中国の更なる米国債売却可能性によって米国が大きく打撃を受ける可能性がある事情とは互いに旨く辻褄が合います。
そうであれば今秋以降、金市場には追い風が吹く可能性があると思います。
テクニカル的に金は12.5年サイクルの底打ちを目指しているのだろうか?
その答えが今秋にも見えてくると思います。