スイスフラン・ショックがあった1月15日(木)は金相場においても大きい陽線が立ち、それまで着々と昇ってきていた金相場に更なる上昇エネルギーを吹き込みました。
現在少し押しが入っていますが、今尚1300ドルから然程遠ざからない位置に滞空しており、同ショックは確実に金相場にも効いていると思います。
【ドル/スイスフラン 日足】まるで5分足のような日足チャート

そもそもスイスフラン・ショックとは、フラン相場の上限を2011年から1ユーロ=1.2スイスフランに設定して為替介入していたものを2015年1月15日に撤廃したことにより、スイスフラン相場が諸外国通貨に対して超急騰したことを言います。
その動きが僅か15分間での出来事だったことが更に「ショック」だったのです。
対円で見ればもっとそのショックの程度が良く分かると思います。
【スイスフラン/円 日足】 僅か15分で115円から135円へ
15分で20円動く為替相場など一生に何回見ることがあるだろうかと思えば、このインパクトは凄いものです。
上の対米ドルの日足チャートで見えるように米ドルは対スイスフランでは急落していますが、今回のことで米ドル指数自体が下がっているわけではありません(逆にまだ上昇継続しています)。
すなわち現在の金相場は、たとえ一時的であるにせよ本来なら反相関関係にあるはずの米ドル指数の上昇と同時進行しており、現在の金融市場が昔と比べて如何に複雑であるかを語っています(以下Spot Gold 日足チャート参照)。
【Spot Gold 日足】 当日は40ドル超えの陽線が立った
【ドル指数 日足】 スイスフランショックはドル指数の基調には影響なし
上述したように、現在は米ドル指数の上昇と金相場の強基調が同時並行していることが分かると思います。
どの相場の教科書を見ても「ドル指数と金相場は反相関関係である」と書かれています。
確かに基本はその通りですが、現在の金融市場は大変複雑になりました。
特に通貨ユーロの登場以来、ユーロ圏の金融有事が起こればそれが原因でユーロ安(ドル高)であっても金の高騰が起こったりします。
スイスフランショック後もユーロの対ドル相場には何の影響もなく、依然ドル高進行中にも拘わらず金が堅調推移しています。
【ユーロドル 日足】 対ドルでユーロ安でも金は堅調

定説的には対ドルのユーロ高こそが金高材料であり、11月7日(1231.60ドル)までは定説通り金も下げ続けましたが、その後は矛盾の領域に入っています。
現在の金相場で覚えておくべきことは、「何か金が好む有事が起これば、金はその材料に飛びついて上げ、常に定説通りではない」ということです。
今回はスイスフランだけが相場動向の要因だったと言えそうです。
すなわち、金相場上昇は「美味しい処取り相場」であり、旧定説には矛盾する場面が多々ある相場になっていることを認識しておくべきです。
ただ一方で重要なのは、金相場が美味しい処取りの意外な反転を見せる場面では必ずテクニカル的に説明のつく節目を迎えていることです。
今回の11/7安値(Spot Gold ベースで 1131.60ドル)は、タイミング的に現行8.33年サイクルの第二
34ヶ月サイクルの底であった可能性が非常に濃厚です。
あるいは前半12.5年サイクルの底でもあった可能性があり、いずれの場合でも新サイクルの天井に向けて上昇していく時間帯に入っているようです。
この見方により、新サイクルが仮に弱気型(かどうかは未確認ですが)だったとしても2015年は概ね強気に推移し、冒頭で述べた価格帯までは上伸すると思います。